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ラボでやろう。

分子模型は直観的に構造を理解することに有用です。複雑な構造を持ったタンパク質の分子模型を手軽に印刷し、研究に役立てる日が来ることを目指してブログを開始しました。※2013年9月現在、ほぼその製法を確立出来つつあります。もし自分の研究室でも、と考えていらっしゃる方は、まず川上までご連絡ください。

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「印刷は安くなってるじゃないか」

最近3D印刷を請け負ってくれるサービスが出てきました。そういうサイトに頼むと、かなりお安い値段で印刷をしてくれるようになりました。

「ほら見ろ!さっき言っていたことと違うじゃないか!」
「カラー印刷でもそんなしないぞ!」

という声が有るかも知れません。

しかし、先ほど言ったことは事実です。専用の高価な装置、ソフト、施設は必要です。
コストは実はかかっています。なのに印刷代は安い。

そのからくりは。

…からくりなんてありません。そのサービス会社が赤を被っているのです。
今、これだけ3Dプリンタ、3D造形がメディアで取り上げられています。
そこで、3Dプリンタを絡めたサービスを始めましたとアピールすることで、企業の認知度、好感度アップなどに
繋がります。

つまり、宣伝活動として、かかる赤は宣伝費としてあらかじめ分かったうえで、サービスをしています。

少し前に自分の姿をスキャンしてそのフィギュアを3D印刷して…というサービスが流行りました。
あの時は、サービス価格として、スキャン代を含め、一体2万円台からだったと思います。
最近もMUJIや宅急便がサービスをしていますね。あれも安いですが、宣伝効果を見込んでのことです。

その後、地方都市で他の会社が似たようなサービスを開始しました。その時は、一体20万近くしました(その後どんどん値段を下げていき、8万円くらいになりましたが)。今青山にある3Dスタジオでは一体(Sサイズ)5万円から10万円します。

なんでしょう、この差は。

後者は、これをビジネスとして、利益が出ることを考えて決めた価格です。(多分。これでも赤出そうですが)
スキャナ、3Dプリンタのコスト、3Dデータ修正の人件費、印刷や後処理での人件費を考えるとそういう相場になるという事です。

また、赤が出ると言っても、大手サービス会社が、いろんな機種をまとめて所有している場合は、設置施設にかかる費用は分けられるでしょう。また印刷をそれ以外の、自分たちの業務としても用いると割り切るなら、減価償却はサービス代金には課さないこともあります。
あるいは、今後コンスタントに、大量の印刷注文が来る(そうすると一件につきかかる固定費、減価償却費や人件費は軽減されますから)と想定して、価格を設定しているのかもしれません。でも多分そんな大量に来ることはない、というのは大手企業も分かっているでしょう。やはり広告、啓発事業の一環という見方で間違いないと思います。

…さてさて、とは言っても、安いのは事実。では、分子模型を印刷してもらおうではありませんか。
…サービス会社は、タンパク質のタの字も知りません。あくまでオブジェクトとして、3Dデータを受け取って印刷するだけです。印刷に可能なデータ形式なっているか?印刷できても取り出せるだけの強度計算をしてデータを作っているか?できていないなら、どこをどのように修正すればよいか?

こんな会話が出来るはずは有りません。こちらは3D印刷のことは素人、向こうは分子について無知識、無関心です。

やっぱりこちらが、一生懸命3DCADを勉強して、交渉しなくても良いよう、データを調製する必要が有りますね。そんな作業、普通の理学生物系の研究室で出来るわけありませんね。
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  1. 2013/08/21(水) 22:58:39|
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模型の棲み分け。

さて、10数万円で3Dプリンタが買えるようになりました。材料は千円程度までで、そこそこの大きさ(一辺10センチくらいでしょうか)の分子表面やリボンモデルの模型が打ち出せるようになりました。

ここまで来るまでに、
(ちまたで言う)3Dプリンターというものがどのように動くのか、
どんな精度で、どのくらいの硬さのもの、どのくらいの大きさのものが、どのくらいの成功頻度(ここ大事です。印刷は成功するもの、というこれまでの紙へ印刷するプリンターと認識を異にしないといけません)で印刷が出来るのか、具体的にどのような技術的な難関が、どのような種類、形状の模型を打ち出す時に、どのくらい存在するかが、実感、経験として見に着いた事と思います。

…それを踏まえて、あえて言ってしまうと、

このくらいのものしか、これだけ苦労しても出来ないのです。
これがたかだか10万円台の3Dプリンターでできる事の限界です。

しかも、私が下調べして、すでにできる事を、ノウハウを聞きながらやっていても、これだけ大変です。
Cubeという、初心者向け、良く考えられたプリンターで、これだけ大変です。
いや、これまではそれすら、まったくできなかったのですから、大変な進歩だと思います。ですが、やはりタンパク質研究をしていると、もう少し、側鎖が表現できるとか、色分けできるとか、合体ができるとか、機能を求めたくなります。
そうです、一旦模型を手にすると、今度は模型が有るのを前提として、次に必要な事を考え(ついて)しまいます。

しかし、先も言った通り、10万円のプリンタだけでは、ここまでが限界です。
高価なCADソフトを駆使すれば、合体模型も出来るでしょう(PLAは硬くて無理でしょうか)。

ですが、自分の研究室で、これ以上の労力を払って、いちいち分子模型を作ろうと思いますか。
CADソフトに数十万から100万以上かけて、3Dデータ編集に数時間かけて、印刷して具合を見ては修正して、を繰り返して。

その時間本来の研究に費やす方が、有益だと思いませんか。
…10数万円のプリンタで、そこそこの模型を手軽に印刷するノウハウは、すこし大変でしたが、身に着けました。あとは要所要所で、「あ、この模型あると便利だな」、というときにチャチャッと印刷する程度で良いのではありませんか。

こっから先は、お金も労力もかかるというのも、模型製作を通して、肌でわかってもらえたのではないでしょうか。そしてここからが本題です。では、その高度な模型はどうするか。

最近、お金を持っているラボが、3Dプリンタの上位機種を買おうかどうか迷っているという情報を得ました。
お金にものを言わせて、とにかく上位機種を買っておけば、いろんな難しい模型でも自分たちで製作できると考えたのでしょう。しかし待ってください。印刷原理がおなじFDM(樹脂溶融)だと、やはりノウハウを身に着ける必要が有ります。その役目はラボの誰がするのでしょうか。そんな一流の、忙しいラボで。
おなじFDMにも関わらず、印刷機が100万以上のクラスになると、使用する樹脂も実はべらぼうに高くなります。おいそれと失敗して試行錯誤…ということは時間もコスト的にも、なかなかできません。
…結局買ったは良いが、研究室の誰も使わず、ほこりをかぶったまま、という状況が目に見えています。

…実は別の分野で(分子模型以外の使用用途で)このような買い方をして、ほこりをかぶったまま型落ち、廃棄寸前、という研究室、企業が沢山あることを聞いています。

こっから先はさらにすごい話です。

カラーの分子模型が欲しい!という事で、FDMではなく石膏粉末方式のフルカラープリンタを買うとなると、プリンタは900万します。保守契約で年間100万かかります。3Dデータの編集ソフトも、Magicsというソフトは130万、年間保守が40万近くかかります。そして、粉じんが出ますから、それ専用の部屋と、換気(吸塵、排気)施設を整えないといけません。どれだけお金かかるんでしょう。
石膏の粉、8キロで10万します。8キロでは印刷開始できるだけの粉の量ではありません。それの数倍必要です。印刷に使うインクは1ccで40円!もするのですが、これのカートリッジがCMYK、4色分必要です。それ以外にバインダという透明のインク、またヘッドの洗浄液が1cc10円程度、これをバカバカ消費します。印刷してなくても、ヘッドの乾燥保護という目的でインクをパージ(空打ち)して消費します。プリンタの印字ヘッドも、あっという間に、数回印刷したら交換しないといけません。一色のヘッドで6千円。これを5つ交換です。印刷したら今度は、石膏の間にしみこませる液、これが1ccで50円!くらいします。
どんだけ印刷コストがかかるんでしょうか。。。。。
印刷にかかる時間、印刷後の後処理にかかる時間。印刷、良く失敗します。装置の不具合で。不具合ごとに印刷機のエンジニアを呼んで修理です。印刷失敗するとそれまでのインク、石膏、バインダ、ヘッドの消費寿命を只々浪費します。むなしいです。

恐ろしくなってきませんか。これ、すべて、単にカラーの模型を印刷する、だけにかかるコストです。

さて、分子模型、いろんな機能を持たせるために、3Dデータをいじって、印刷して、複雑な形状の造形物を神経を尖らせて取り出して、後処理をして、さらに、シリコーンを流し込んだり、磁石を埋め込んだり。

段々、kawakami modelがどれだけ大変な作業が必要か、それにかかるコスト、製作する人の人件費を考えると、模型の値段、相場が分かって来ませんでしょうか。

実は、kawakami modelの場合、3D造形に関わる人が、その製作過程の内訳を聞いて、実物を見せると、売価は50万から100万はくだらない、それ以下で売るなんて馬鹿げてる。いや馬鹿だ。
と言われます。「ものにはなあ、相場、ふさわしい価格ってものが有るんだ」と怒られます。

ところが、分子模型を欲しい研究者はそんな製作の現場を全く知らない。というか、テレビの報道の影響で、ボタン一つで、どんな模型でも簡単に出来上がるという印象を持ってしまっている。そんな人が、この模型を見て、価格は数十万です(これでも赤が出るぎりぎりの価格)、と言われても「暴利だ!」と怒る人がたくさんいます。

これが今の現状です。私も研究者側の人間ですので、なんとか、模型の売価を、暴利と思われない価格まで下げたいのですが、今の製法、使用する印刷機では、おのずと下限があり、それではまだまだ皆さんに広く供給するところまで至っていない状態です。

…フルカラー印刷機は、今のところ、特許が関係するので、この高価な機種しか使用できません。数年後には、特許が切れ、もっと安い装置が手に入るかも知れません。インクも、石膏ももっと価格が下がると思います。しかし下がってから、誰かが模型の試作に入っていたのでは、研究に導入するのは大変遅れてしまいます。やはり、今ある技術でできる事を常に試行しながら、そういった技術の進化、印刷機の低価格化にすぐに対応できる体制をとり続けることが、重要なのではと考えています。

…ながながと述べましたが、模型の棲み分け、各研究室ではどの模型をどのように導入すればいいかを、このまま誰も推し進めなければ、上述したように、高価な装置を買って失敗する不幸な例、そのお金が有れば外注で便利な模型を沢山買えた例、などが出来てしまうと私は考えています。なんとか、その旗振り役を私やこの領域の活動を通じて、進めることが出来ればと思います。
  1. 2013/08/21(水) 21:42:52|
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合体可能な模型を作るには。

さて、リボンモデル、分子表面モデルが打ち出せたとしましょう。
これで終わりでしょうか?否、模型の良さは、手に取って見れる、そして、模型をある程度動かしたり、模型同士を合わせたりすることで、分子間の相互作用の様子を理解したり、推定したりすることが出来ることにもあると思います。その点で、複合体のPDBファイルから、複数の分子の模型を作製し、それらがカチリとはまり込む様子を再現出来たらどんなに素晴らしい事でしょうか。

しかし、こういった類の模型を作成するには、大きなハードルがあります。
ふつう、タンパク質分子が相互作用する場合、分子表面模型と低分子模型、またはタンパク質分子どうしが会合するところでは、分子表面形状をそれぞれ独自に計算させたのでは、立体的障害が出来てしまい、うまくはまらないのです(水素結合、疎水性相互作用、配位結合、芳香環のスタッキングなどによる)。また模型がはまり込む際に、一度タンパク質の構造が、大きくゆがむ必要があることが多々あります。これはシリコーンで成形した川上モデルならいとも簡単に可能なのですが、他の模型、特に石膏模型だとこれは出来ません。

さてどうしましょうか。
Cubeの模型はPLAかABSで、非常に硬い樹脂なので、大きくゆがむ必要のある分子は、再現が出来ないでしょう。
また、分子表面形状の「重なり」を解消しないことには、はまり込めそうでも、うまく模型が元の位置には収まらず、正しい会合を再現できないでしょう。

このためには、Boolean処理という演算で、あらかじめ、重なる部分を削るというCADソフト上での作業が必要です。これは無料で手に入るソフトではなかなかできない機能でしょう。blenderが出来るようですが、このソフトの扱いを覚えるのはなかなか大変そうです。
さらに、もうひとつ重要なのは、Cubeの印刷の仕様です。実は、Cubeは低融点の柔らかい樹脂を用いているようで(ABSの場合これを確認)、押し出されて成形された模型は、もともとのCADのデータ上の形状よりも、「太って」印刷されるようなのです。私の初代では、約0.25ミリ、太くなりました。0.25ミリくらい、と思われるかもしれませんが、凹凸にはめ込む模型を考えてみましょう。凸の模型のとがっている部分は、太さが、両サイド各0.25、つまり0.5ミリ太っています。方や凹の模型のへこんでいる部分、こちらも0.5ミリ太って(凹部が狭まって)います。…合計で1ミリ、整合が合わないことになります。これでは全く凹凸がはまり合うはずが有りません。

さて困りました。どうしましょう。
これも、CADの演算処理をすることで解決できます。ただしやはり、かなり高度な処理です。太る部分をあらかじめ元の形状から削っておけばよいことになります。これも特殊なソフトが必要でしょう。

ということで、合体模型を作るには、実は大変複雑な作業が必要という事になります。

ただし、一旦ソフトの作業を覚えれば、おそらくマクロ処理、ルーチン処理の要領でデータを加工できるので、しんどいですが、この作業が出来る環境を確立する必要が有ります。このあたりは、スタジオミダスさんや私が協力しないとなかなか進まないところだと思いますし、ひょっとしたらビジネス、あるいは重宝がられる公共サービスへの発展、という可能性も考えられます。

※とにかくまずは1センチ立法体の3Dデータを作成し、これが実際どういう大きさで打ち出されるか、第二世代Cubeで試してみましょう。(可能ならおなじく1センチ立法の凹部をもったオブジェクトも打ち出すことを勧めます。
  1. 2013/08/12(月) 22:45:58|
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サポートの除去について。

FDM(樹脂を溶かして絞り出し、固める)方式の3Dプリンターは、どうしてもその原理上、せり出した形状に対して、物理サポートを配置してやる必要が有ります。ある空間に突然物体を印刷はできません。むなしく樹脂がじゅるじゅると重力に従って垂れ下がるだけです。
物理サポートは、各プリンターのドライバに内蔵されているアルゴリズムによって自動生成されます。もちろん設定で物理サポートを強制的にオフにすることはできます。分子表面模型などで、少々垂れて失敗する部分が有っても、全体の量に比べれば微量で、それよりも物理サポートを印刷しないことによる材料の節約(Cubeは樹脂が高いですから)、印刷時間の短縮につながる場合は、印刷することがまま有ります。

Cubeに関しては、Cubifyというソフトが、非常に高速に物理サポートの形状、位置を計算してくれます。3DTouchの計算なんて、遅すぎて冗談かと思うくらいです。おそらく後継機種のCubeXも同様だと思われます。
Cubeのサポート配置は非常に優れていて、リボンモデルの場合、ループ部には、印刷後、うまく壊れやすい、かつ支える役目は果たせるような形状のサポートが配置されます。へリックス部分、少し垂れる部分が出来ますが、あとで超音波カッターの腹で押さえることでで何とか修正可能です。

さて、印刷後のリボンモデル、うじゃうじゃとサポートがラフト部分から生えています。サポートの除去に関して、リボンモデルはやはりサポート除去の際に破損しやすいので、とくにループ部、垂直に伸びた形状は、断面がすなわち積層面になるので、水平に力がかかるとぽきっと折れてしまいます。ここが一番気を付ける点です。垂直な部分そのものにはサポートはあまりついていないのですが、その前後、サポートがびっしりと付いている部分は、無理な力をかけてサポートを剥がさないように(通常サポートはラジオペンチで挟んで壊します)してください。ここでコツですが、分子全体を見て、可能な限り、中央部分から壊していってください。そしてラフト部は出来る限り残して、サポートはペラペラの形状をしているので、そのモデルから離れた部分をペンチで握りつぶすようにして、サポートのみを除去していってください。なぜ中央からかというと、周辺から壊すと、どうしてもふらふらしたループ部が出来てしまい、その部分が、中央のごついサポートを壊す際に力を入れてしまう時に破損してしまうことが有るからです。しかし中央からだとその可能性が減りますし、もし中央でも破損個所が出来ても、ラフト部分が生きていれば、折れた個所を残りのサポートとラフトを頼りに折れる前の位置関係に戻して、接着剤なり超音波カッターで溶着するなりして(こちらがおススメです)破損をリカバーすることが出来ます。

言葉で説明するのは難しいですね。とにかくループ部の細い部分に力がかからないように、慎重にサポートを除去してください。サポートが、モデル本体とくっついてしまっている部分などは要注意です。剥がすのに大きな力が要ります。適宜、超音波カッターでサポートを大まかに切断して後でこまごま剥がすなどを取り入れて、うまく除去を進めてください。

  1. 2013/08/05(月) 23:22:39|
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リボンモデルの模型データ作り。その4

分子を太い丈夫なリボンで表示しました。SS結合を表示しました。βシート間の水素結合を表示しました。それでも、ここは折れそうだなとか、特にN末C末はフラフラして危なっかしいなど感じることも多いと思います。その時には物理サポートで強制的にその部分を他とつないでしまいたい場合が有るでしょう。
CADソフトでいちいちオブジェクトを発生させて繋いでいくのも可能ですが、やはりchimeraの中で済ませてしまえるのならそれが楽です。

私は一つの方法を発見しました。それは、強制的に、主鎖間の水素結合を表示させてしまう、という方法です。
どういう事かというと、前講で、βシートのみを選んで、シート間の水素結合を表示させましたが、同じように、「繋ぎたい残基の対を選んで、βシートと同様にFindHbondでOnly find H-bonds>with both ends selectedを選択しておき、applyで表示させるという方法です。

まず、繋ぎたい残基2つを選びます。リボンモデルの、繋ぎたい位置にマウスカーソルを持っていくと"GLU148.A"というように、残基種類、残基番号、鎖IDが表示されます。この残基番号をメモっておき、もう一方の残基位置も同様に残基番号を調べます。
そしてコマンド入力ウインドウで(メニューからFavorites>Command Lineでメインウインドウ下部にコマンド入力部が現れます)次のように入力します。(12番と148番だったとしましょう)
select :12.a@n:148.a@o
何をしているかというと、12番残基のNHと、148番残基のCOを選択せよ、というコマンドです。
数字が残基番号、.aというのは、鎖のID(一つしか分子鎖が無い場合は省略可能)です。
2か所、緑のふちで囲まれたのを確認してください。
その後、FindHbondでOnly find H-bonds>with both ends selectedになっているのを確認してください。
ここで、applyを押しても、何も表示が変わりませんでしたね?それどころか、これまで表示してた水素結合も消えてしまいましたね?

これは、水素結合を検出しようにもあまりにも遠すぎてそんなのありませんという返事です。なおかつ、この検出は排他的なので、これまでの検出していたものを削除してしまいます。
まずこれを避けるには、Retain Currently displayed H-bondsのボタンをオンにしてください。
「これまで検出して表示してきた水素結合は残しておき、そのうえで今回の検出を足して表示します」というモードになります。
次に、Relax H-bond Constrainsのセクションを見てください。ここのラジオボタンをオンにして、水素結合の検出条件を緩和してやります。ここで、ものすごく限定して選択した効果が出てきます。距離(angstroms)にものすごく大きな数値を入れ、角度(angles)も360で構いません。とにかく、大甘の条件にしてやります。が、選んでいるのはNHとCOの組だけなので、ここだけがどんなに離れて、どんな角度で向かい合っていても、水素結合が有ると判断し、表示してくれます。

理屈が分かったでしょうか。この調子で、1組ずつ、選んではapplyで水素結合表示を一つづつ増やしていくのです。楽して一度に複数残基を選んでも駄目ですよ。それらの間でネットワークのように水素結合が張り巡らされてしまいます。あくまで、一組づつ。
この方法は、失敗したら、後戻りできないのが残念な点です。残基の組みをメモっておいて、失敗してもすぐにやり直せるようにするとか、セッションをこまめに保存して間違えたら開きなおすなどで対処してください。

…これで補助サポートを張ることが出来ましたね!ようやくこれでリボンモデルの編集作業は終了です。

  1. 2013/08/02(金) 21:58:23|
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リボンモデルの模型データ作り。その3

3、いや4本立ての長編です。でもそのくらい重要です。書くことが沢山あります。

リボンモデル、SS結合が十分な数、離れた部位を繋ぐように配置されている場合これで事足りるかもしれません。しかし、もともとSS結合が少ない、無い、または近い位置の残基感を結んでいてあまり効果が高くない、という場合も出てくると思います。

そこで次にサポートとしてお勧めするのが、主鎖間の水素結合を実体化させ、補助サポートとして使おうという作戦です。水素結合の位置も表示できますので有用だと思います。

ただ、αへリックスは、実はそれ自体が大きめのらせんを巻いたオブジェクトで、取り出し時に破損するという事はあまりありません。またリボンと同時に4残基ごとのCO-NH間水素結合を表示しても、大きなリボンに隠れて見えづらいこともあり、αへリックスに水素結合を表示させるのは有効ではありません。

βシート、こちらは大きな効果が有ります。離れた残基間で働く場合が多く、2つの長い板状のシートの構造を何か所も繋いでくれるため、非常に丈夫な印刷物が出来ます。

さてではどのように水素結合を表示し、かつ、それが実体化データとして含めることが出来るかをお教えします。
まず、先ほど言ったように、αへリックスの水素結合は要らないので、Select>Clear Selectionですべてを外し、改めてSelect>Structure>Secondary Structure>Strandを選択。シート部の外縁が緑になったことでしょう。

この状態で、Tools>Surface Binding Analysis>FindHbondを選択します。
するといろいろ聞かれていますが、大事なのは、Only find H-bondsの横のプルダウンで、ラジオボタンをオンにすると、ポップアップメニューの項目が選択できで、ここではwith both ends selectedを選びます。すなわち、βシートで選んでいるんだから、シート間でのみ起きている水素結合しか探しませんよ、という設定です。これでapplyを押すと…水色の太い線が、βシート間で水素結合を結んでいる位置に表示されましたでしょうか。
これだけあればβシート間の安定性は抜群でしょう。

では次に、この補助線と言える水素結合(今は厚みの無い太い線として描かれていますね)を実体化させる必要が有ります。このまま印刷データにしても”厚みゼロ”というオブジェクトは印刷対象になりません。

そこでTools>General Controls>PseudoBand panel を選びます。水色のウインドウが現れます。ここで下段にあるhydrogen bondsをクリック2回押してhydrogen bonds attributesを開きます。
ここで、再下段のComponent PseudoBond Attributesのボタンを押し、さらにボタンを表示させます。
このうち、bond styleをwireからstickに変えましょう。するとほら、水素結合が立体感を持ったオブジェクトとして描画されています。…しかし太さが足りませんね。それは上の段のstick scale項目で太らせることが出来ます。

さて!これでたいていのリボンモデルのデータ作りは可能だと思います。

何?補助線がもっと欲しい?2次構造に関係なく?ループ部にも?
…ごもっともなリクエストです。もちろん、CADソフトを介入させて、繋ぎたい二点を円柱オブジェクトなどで繋ぐ→マージすることは可能です。ただどれくらいすいすい、安いソフトでできるかは疑問です。
でも出来るだけCADを使わず、ビューワ内の操作でこと足りるものができるか。挑戦です。

…ふぅ。 次回は任意の位置にスティックを生やす方法について述べます。
  1. 2013/08/02(金) 02:02:48|
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リボンモデルの模型データ作り。その2

そのままでは取り出しが難しいモデル。物理サポートが必要です。

まずその分子にはSS結合が有るでしょうか?有るとしたら、それを実体化、スティック表示で実体化させることで、リボンの部分と部分をしっかりとつなぐことが出来ます。かつSS結合の場所を明示できるので一石二鳥です。

Favorites>Sequenceで編集したい分子のシーケンスを表示させ、SS結合をしている残基を選びます。残基のアルファベットをマウス左を押しながらなぞるように動かすと選べます。そしてシフト押しながらで複数選べます。
選んだらActions>Atoms/Bonds>Stickを選択し、Actions>Atoms/Bond>showで、システイン残基の側鎖を表示できます。

残基を選んでスティック表示にしたら、残基に含まれるすべて、つまりCαHやCO,NHも表示されてしまわない?という疑問が出るかもしれませんが、chimeraは優れていて、リボン表示されている残基に関しては、側鎖のみがリボンから生えているように表現されます。これは便利。(Pymolはそうでないので消すのが少し大変です。)

全てSS結合を表示し終えたでしょうか。
さて、スティックの太さは?大丈夫ですか?多分細すぎて駄目でしょう。ではスティックの太さはどうやって調整するのでしょうか。これはFavorites>Preferencesで出たウインドウ内で、Category>プルダウンでNew Moleculesを選択し、stick scaleの数値を変更してください。2とか2.5辺りでしょうか。入力したら、Saveを押してウインドウを閉じます。
…あれ?変更が更新されていない?そうです。chimeraの悪い点なのですが、ここで変更しても、new moleculesという項目名が示すように、新しくロードした分子から適用されるのです。

残念ですが、一旦編集した分子を諦め、セッションを閉じましょう。ただしここで、せっかく調整したへリックスやループの太さのパラメータも初期化されてしまうので、再度ribbon style editorに戻り、設定ファイルをSave as で名前を付けて保存しておきましょう。

セッションを閉じ、再度やり直し。(ただし次からはこのスティックの設定値が保存されていると思いますので、この操作は今回限りです)リボン表示して、システインをスティック表示、太さが更新されているのを確認。

鶏リゾチームや、RNaseAなどは4対も、しかも一次構造上離れた残基を繋ぐよう配置されているので、これだけでも印刷取り出し時のサポートに十分なるかと思います。
  1. 2013/08/01(木) 23:34:00|
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リボンモデルの模型データ作り。

次にリボンモデルのデータ作成について。

リボンモデルは、非常に細い部分が出来ます。印刷後、取り出す際や模型を扱う際にその部分が折れてしまわないよう、十分な物理強度を持たせる必要があるという事を頭に入れておいてください。

リボンモデルデータを作成できるソフトは、chimera一択です。
pymolもvrmlで保存し、meshlabでstlに変換すれば印刷は可能かもしれません。しかし良く見ると、pymolで2次構造を表現する(cartoon表示)と、2次構造の継ぎ目部分、特にβシートの矢印の先端部などが、不連続に表現されてしまっています。矢印先端とループ部分との接点があまりにも小さいため、印刷しても、その部分でぽきっと折れてしまうのです。いくらループや矢印を太くしても駄目です。ということでPymolは諦めましょう。
(といいながら、kawakami modelはpymolを使って印刷データを作成しています。このネタを明かすと、継ぎ目部分が連続になるように、一枚薄手の「皮」でモデルを包み込むようなデータ処理、wrappingという作業をしています。こうすると適当に不連続な部分を「丸め込んで」、かつ平坦な部分はほとんど何も変化が無い(薄皮一枚乗っかるだけ)データに変換できます。ただしこの機能は、高価なCADソフトでしかできないはずなので、Cubeでのデータ作りではこの方法はとらないでおきましょう(どうしてもという場合は、私に聞いてみて下さい)

chimeraで印刷したい分子鎖をリボンで表示できたら、印刷に適したパーツの太さに調整します。
メニューから、tools>depiction>ribbon style editorを選択します。ここでは各二次構造の表示パラメータを調整できます。
Cubeで印刷する場合、ループ部の太さは、最低でも0.4にはしておきましょう。coilのwidth,hightともに同じ数値を入力します。私は0.6くらいにしています。ちょっと不恰好ですが、印刷するには仕方ありません。
同様にしてへリックス、シートも調整します。独特なのは、βシートの矢印の先端、根元も調整できる点です。先端部はループと同じ太さにしておきましょう。

さてこれで印刷できる…はずですが、良く考えてみましょう。
リボンモデルで表示しましたが、NからC末まで、たった一本のリボン鎖がウネウネグルグル巻いているだけです。印刷できても、取り出し時に、この鎖がグラグラ、不安定で、サポートの切り出しの際にいつリボンを破損するか分かりません。いや、最初は100%失敗(ポキッとどこかで折ってしまう)するでしょう。

ではどうしましょうか。
  1. 2013/08/01(木) 22:34:49|
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分子表面の模型データ作り。

分子表面の模型製作の話をします。

前にも書きましたが、3Dプリンターで印刷するには、そのプリンターのドライバソフトにデータをインポートしなければいけません。そしてほとんどすべての場合、STLファイルしか認識してくれません。したがって3Dデータは必ずSTL形式で製作する必要が有ります。

STLデータを直接吐き出せるPDBビューワは、今のところChimeraしかありません。
ただし、Meshlabなどを使用すると、VRMLファイルをSTLに変換できますので、VRMLが吐き出せるPymolも使用できるという事になります。(ただし分子表面モデルのみ可能、です。理由はまた後日書きます)

ではchimeraを使って分子表面データを作成してみましょう。
chimera起動後、menuから"fetch by ID"を選択し、pdbidを入力。するとリボンモデルとリガンド付近の残基側鎖がスティック表示された分子が描画されてくるはずです。
一旦すべて表示を消して(actions>Atoms/Bonds>hide)(actions>ribbon>hide)
分子鎖が沢山ある場合は模型にしたい分子鎖のみを選択し(select>chain>XXX)
actions>surface>showで分子表面を描写。するとつるっとした分子表面の像が描かれます。
そしてfile>export scene>stl形式で保存。
chimeraもpymolもそうなのですが、STLやVRMLで保存した時は、その大きさは、常に分子の1000万倍ちょうどになっています。これは大事なので覚えておいてください。

後はこれをCubeのソフトでインポートし、向きや大きさを調整し、印刷するだけです。
ラフト有、サポート有で印刷してみてください。これだけです。実に簡単。

…しかし印刷して出てきたものを見て気づきましたか?
印刷物はサポートが付いてきます。これを剥がすのですが、剥がした後はボコボコになってしまっています。
分子表面模型の場合、印刷した際の上方向から模型をみると綺麗なのですが、反対側からみると、サポート跡が目立って大変汚い模型に見えてしまいます。

リボンモデルの際に言おうと思ったのですが、このサポートの剥がした跡というのは、実は超音波カッターの腹面で抑えて「なめして」やると、つるっとしてあまり目立たなくなるのですが、分子表面の場合、入り組んだ凹凸面にカッターの腹の面を押し付けるのは難しいため、後処理が出来ず、この汚い見た目のままになってしまいます。

ではどうしてこの事態を回避するかというと、模型を上下二つの部位にぱかっと分け、どちらのパーツも、分けた面を下にして印刷し、サポートの剥がした跡を極力無くしたこのパーツ同士を、印刷後に張り合わせる方式をとるのです。印刷は、ラフト無で行い、サポートは形状に応じて有り無を決めてください。印刷後、ステージから剥がした面はつるっとした平坦な切断面(会合面)を再現することになります。ここでもちろん、warpingによる反りが有った場合は両パーツを張り合わせるのに不都合が出るのは理解できるでしょう。
したがって、反りの無いPLA、もしくは、カプトンテープで対策をとったABS樹脂での印刷が重要です。

分子表面データを分割する方法は、以前簡単に書きましたが、CADソフトで加工する必要が有りますが、無料で手に入るnetfabbが便利です。open>stlファイルを選択し、分割したい面をcutsのセクションで選びます。
あらかじめ分割したい方向が分かっている場合は、chimetaでのstl保存の前に、分子を分割したい方向に沿って配置して保存しておくと、netfabbでの操作が要りませんので便利です。ただnetfabb上でもrotate partsで方向はかえられるようですが。印刷したい方向のボリュームボタンで切断位置を選択し(CTスキャンを取るような感覚です)、execute cutで実行。切断面を平面で埋める"triangulate cut"で切断してください。(しかしそうでなくても、解放面が出来ているSTLをCubeでインポートすると自動で解放面が埋められて修正がかかっているようです)
パーツを選択し、右クリックでexport part>as stl (ascii)で保存。上下各パーツで行ってください。
Cubeでインポート後は、どちらかは天地をひっくり返す必要があるので切断面を下にして印刷してください。

長くなりましたね。画像があると良いのでしょうが、それはまた改めて本内容をまとめたサイトを作る際に準備したいと思います。
  1. 2013/08/01(木) 01:12:01|
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